自然と人間をつなぐ革新的なデザイン：Karst

水浄化システムを備えた階段

デザイナーのChi-Hao ChiangとZhixian Songは、人間が自然から自分たちを隔てる伝統的な境界を破ることを目指しました。その結果、水と人間のコミュニティをつなぐインタラクティブな空間を作り出すことになりました。この階段の名前であるKarstは、溶食洞窟で知られるカルスト地形から取られています。この地形は、酸性雨がカキの殻と反応する過程や洞窟の形状で有名です。

Karstは、ガバナーズ島のために設計されたモジュラー式の階段で、人々が流れる水を見聞きするための溶食洞窟のようなものです。水浄化システムを備えており、自然の感覚を家庭にもたらし、人間と水のコミュニティをつなげます。各モジュールには、カキの殻を砕いたものを入れるポケットがあり、これらの殻は炭酸カルシウムで構成されています。これらの殻は酸性雨と反応し、二酸化炭素を吸収することで海洋酸性化を減らすことができます。

この階段はコンクリートで作られ、フィルタリング材料としてカキの殻を砕いたものが入った袋が使用されます。この階段は室内だけでなく、モジュラー式のユニットに分割して島全体に設置することも可能です。最終的には、浄化された水は港に戻り、島の環境に貢献します。

このプロジェクトは、2020年2月にニューヨークで開始され、同年5月に完成しました。その後、同年10月にニューヨークのガバナーズ島で展示されました。このデザインは、2022年にA' Building Materials and Construction Components Design Awardでブロンズ賞を受賞しました。この賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強い技術力と創造力を発揮し、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にする優れたデザインに授与されます。

Chi-Hao ChiangとZhixian Songのデザインは、自然と人間の間の境界をぼかすフィルターシステムとして、新たな可能性を提示しています。その革新的なアプローチは、建築とデザインの世界において、サステイナビリティとコミュニティの結びつきを再考するきっかけとなります。